『ブラックホーク・ダウン』徹底的に描かれる兵士の痛み – 映画の感想・評価

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

映画の基本情報

一言感想 / こんな人にオススメ!

一言感想

戦争や兵士のことは理解できないけど。仲間達がいるから逃げられない、って気持ちだけは、なんとなくわかる気がする。

こんな人にオススメ!

  • 戦争の「現場」を少しだけでも感じてみたい人
  • 怪我の描写にある程度の耐性がある人

映画のあらすじ

1993年のソマリア。アメリカが、敵の将軍を捕獲するために、強襲作戦を決行。

さっくりと終えて帰る予定が、アメリカ軍のヘリコプターが撃墜される。

救出のために向かった兵士達も次々と負傷し、またそれを救出しようとして負傷者が増える悪循環。

しかし誰一人としてあとに残すわけにはいかないのだっ! 何としても全員連れ帰る。置き去りなんてゆるさないんだからねっ!

倒しても倒してもあらわれる敵。兵士達は無事に脱出できるのか!?

映画の予告動画

オススメなところ!

「兵士達」が主役

だれか一人が大活躍する、といった話ではありません。

「兵士達」という集団が、この物語の主役です。

 

戦争映画というと、「個人の回想が入って、悲劇的な死を遂げる」とか「とにかく戦争の悲惨さを描いて、戦争反対!」とか「すごい戦略・戦術で敵を圧倒!」とかが多いと思いますが。

この映画は、戦争の全容を描いたものでもなく、個人を深く描いたものでもない。

ただ、戦場で戦う兵士達の痛みが描かれています。

 

徹底的に局地戦と兵士達の消耗のシーンが続きます。

こういった視点は他の映画ではあまりなく、良かったです。

なぜ兵士達は戦うのか

なぜ兵士達は戦争に向かうのか? なぜ戦い続けるのか?

戦争に関わりのない人たちにとっては、理解が難しい感覚ではないでしょうか。

 

中には、平和の実現という大義のために本気で戦う人もいると思いますが。そうでない人も多いでしょう。

英雄になりたい、という思いもないですし。ただ人を殺したい、というアヤうい人も、ほとんどいないのではないでしょうか。

 

映画の中で一人の兵士が「仲間達のために戦う」のだと言います。

これにはけっこう、納得させられました。その言葉があったからではなく、映画全体で「仲間のために戦う姿」が一貫してみられるからです。

彼らは軍隊に帰属しており、仲間達と繋がっています。

仲間を置いて一人だけ逃げることは許されないのです。自分だけ逃げても、戦場は無くなりません。

 

死の恐怖よりも、「仲間達を裏切って一人だけ逃げる」ことの恐怖の方が上回るから、戦場に向かえるのではないでしょうか。

これは単に「仲間の命を救いたい」といった気持ちだけを意味するのではありません。

戦場から逃げるということは、仲間を見捨てることを意味します。

戦場から逃げるということは、これまでの自分を捨て、居場所を失うことを意味します。

後者の恐怖の方は大きいと思います。

 

戦争に限らずありますよね。

「仲間のためにやる」「仲間がやるから自分もやらざるを得ない」ことって。

一人では絶対にできないこと、やらないようなことでも、良くも悪くも仲間がいるからできてしまうのです。

ザンネンなところ……

「ヒューマンドラマ」はない

冒頭の30分前後で、戦場ではない、平時の基地も描かれるのですが。

ひとりひとりに何かエピソードがあるわけではありません。

みんな同じ服装をしているし(軍人だから当たり前だけど)、特徴的なエピソードもないし、誰が誰だかよく分かりません。

「あいつめっちゃいいやつなのに死んじゃったー……」的な感動モノを予想していると、期待はずれかもしれません。

基本的にアメリカ側の視点のみ

当然のことだけど。ソマリアの民兵側の視点では描かれません。

ただ、「アメリカ万歳!」ってわけでもないし。一方的に何らかの正義を押し付けるような映画ではないので、まぁ良しです。

そのほか思ったこと

怪我だらけ。しかもめっちゃリアル

怪我人おおすぎ。そしてリアルすぎ。

痛々しい描写が苦手な人は絶対に見ない方がいいです。

普通に腕も内臓も吹っ飛んでいきます。

反戦映画でなないが、この映画を見て、戦争を肯定できる人は少ないと思う

なんだろう。戦争反対!って映画じゃないんだけど。

映画を見終わった後は、戦争って絶対ない方がいいよなー。と思わされます。

平和な国の平和な時代に生きていると、忘れがちですが。世界中には多くの痛みがあふれているんだな、と当たり前のことに改めて気付かされます。

等身大の人々が傷ついていくのをひたすら見せられるので、そんな気分になるのかな。

ユエン・ブレムナーがいい感じ

『ワンダーウーマン』にも出ていたこのお方。画像はワンダーウーマンの方。

この映画では、おとぼけキャラのネルソン役として出ています。

ずーっと殺伐とした映画なので。彼が唯一のほっこりどころです。

 

ほっこり、大事。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメントを残す

*