
あの世の入り口ってどこにあるか知っていますか?
実は、黄泉の国の入り口とされている場所が、島根県に存在するのです。
黄泉の国の入り口、その名も「黄泉比良坂(よもつひらさか)」。
神話の地・出雲ならではの神聖なスポットです。
今回は、出雲大社や八重垣神社と比べマイナーな観光スポットである、黄泉比良坂を紹介します。
目次:
黄泉比良坂のアクセスと地図
アクセスと地図
- JR揖屋駅から車で5分
黄泉比良坂と縁の深い揖夜(いや)神社からは車で7分ほどです。
セットで見て周るといいでしょう。
黄泉比良坂の駐車場
数台の車を停められるだけのスペースがあります。
しかし、あまり広くないですし。ここにくるまでの道は車がすれ違うのが難しいほど狭いので注意です。
黄泉比良坂のみどころは
黄泉比良坂は黄泉の国の入り口
黄泉比良坂は、古事記で「あの世の入り口」として登場することで有名です。
現地の案内文に、詳しく書かれていたので、全文を記載します。
黄泉比良坂は、『古事記』に登場する坂です。伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が黄泉の国から帰ろうとした時、追ってくる悪霊邪鬼を桃の実で撃退した坂であり、大穴牟遅神(おおあなむじのかみ。後の大国主神)が黄泉の国で須佐之男命(すさのおのみこと)の課す様々な試練を克服し、妻の須勢理毘売(すれりびめ)と共に還ろうとした時、須佐之男命が追い至って、大国主神(おくにぬしのかみ)の名を与え国作りを託したのもこの坂です。
その場所については「かれ、そのいわゆる黄泉比良坂は、今、出雲国の伊賦夜坂(いふやざか)といふなり」と記しています。
碑の西方の山道がこの伊賦夜坂と言われており、途中に塞の神が祀ってあります。『日本書紀』に、伊弉諾尊(いざなきのみこと)が黄泉比良坂で「ここから入って来てはならぬ」と言って投げた杖から出現した神であると記されています。地元では、この道を通るときは塞の神に小石を積んで通るという風習があり、今でも小さな石が積まれています。
黄泉比良坂には、今でも桃の木が立っています。
悪霊邪気に追われたときは、この桃の木から実を取って投げつけましょう。
伊邪那美命(いざなぎのみこと)ゆかりの地
黄泉比良坂は、揖夜神社に祀られているイザナミゆかりの地でもあります。
現地にはこんなことが書かれた看板もありました。
黄泉比良坂黄泉(あの世)の国と現世の境界の地として古事記上巻に、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が先立たれた最後の妻、伊邪那美命(いざなみのみこと)を慕って黄泉の国を訪ねていかれた入り口が、この地(黄泉比良坂)であるとされている。別名「伊賦夜坂」の起源でもある。昭和15年に「神蹟黄泉比良坂伊賦夜坂伝説地」と刻んだ石碑が設立された。
あの世まで会いに行くなんて、深い愛ですよね。
しかし、ここは二人にとって悲しい別れの地となってしまいます。
揖屋神社や、二人にまつわる神話についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
【島根 揖屋(いや)神社】アクセスや黄泉比良坂との関係をまとめ
黄泉の国を塞ぐ大岩
イザナギは、黄泉の国から逃げて帰ってくる際、大岩で黄泉の国との入り口を塞ぎます。
石碑にはこんなことが書かれていました。
ここに逃れてきたイザナギ命は
桃の実を投げつけ退散させた
最後にイザナミ命自ら追いきたり
大岩をもちて塞ぎ
生の國と死の國の境となせり
千引の大岩なり
これより西二百米に道祖神あり
追谷坂と呼ぶ急坂を下れば
揖屋村谷に通ず
又東四百米に峠あり
夜見路超えとて
中意東馬場に通ずる古道あり
ここの神を
塞坐黄泉戸大神なり
これらがその大岩でしょうか?
さきほどの桃の木の、目の前にあります。
この大岩をどかしたらどうなるのか? 考えただけでもおそろしいですね。
天国(黄泉の国)への手紙を送るポスト
現地の保存会の方々の粋な計らいで、黄泉比良坂には、天国の人へ手紙を送るためのポストが設置されています。
黄泉の国の入り口ですから、黄泉へ送る手紙のポストを置くのに、これ以上の場所はありませんね。
ひんやりとして、恐ろしげな雰囲気の黄泉比良坂ですが。ポストは比較的新しく、安心感を覚えます。
なんと、便箋とペンまで完備されていました。
ありがたい。感謝ですね。
出雲国の伊賦夜坂(黄泉比良坂)を歩ける
大岩や桃の木だけでなく、坂も現存しています。
昼間なのにおどろおどろしい雰囲気。
進むのがためらわれます。
勇気を出して先へ進みます。
ひー。こわいよー。一人で夜にくるのは絶対無理です。
しかし、せっかくここまで来たので、先へ進みます。
下り坂があります。
なんか、道だけが照らされ怪しい雰囲気。
本当にこの先へ進んで帰ってこられるのか……。
ひとまず左にうっすらと階段が見えるのでそちらへ進みます。
そこから意外と先がある。1-2分歩き続けると、先に看板のようなものが見えてきます。
さて、なんと書いてあるのか。
なんだかやばそう。
素直に引き返すことにする。
「進まないでください。って言われると進みたくなっちゃうよねー」ってほどワイルドな性格ではないので。
さっきの下り坂をすすむと塞の神が祀ってあるのかな?
ひとまずそちらへ戻ろうと思う。
「黄泉の国の入り口にいる」って考えるだけで背筋が凍ります。
こんなに長くここにいて大丈夫なのかな?
そろそろ悪霊たちが、生者を黄泉の国へひきずりこもうと、やってくるんじゃないだろうか。
いやー、さすがにそんな非科学的なことは起きないでしょう。
ちゃんとここにくる前に揖夜神社もお参りしたし。問題ない。
勇気を振り絞って、坂道を進もう。
あれ、なんか急に光がさしてきた。
うわっ。なんだ。くそっ。こいつら。ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ……。