マイホームを建てるために、日々調査に時間を費やしています
ハウスメーカーと工務店のどちらで家を建てるのがいいのか、悩んでいる方も多いですよね。
家を建てるうえで当然気になってくるのは、そのコスト。
ハウスメーカーと工務店ではどちらが安くなるのか知りたいですよね。
しかし実際の価格を知るためには、ハウスメーカーの営業マンと会い、条件を伝え、見積りを出してもらう必要があります。
そこまでするのは大変ですし、そもそも営業マンの話を聞くかどうか決める前提として、おおよその価格を知りたい、という方も多いでしょう。
どちらが安いのか、くらいであればご存じの方も多いかもしれません。さらに、どれくらい違うのか、その理由は何なのか、というところまで理解できればメーカーを選ぶ上で非常に役立つはずです。
この記事では、そういった点まで含めて丁寧に解説していきます。
ハウスメーカーと工務店はどっちが安いのか? さっそく結論から
一般的にはハウスメーカーの方が高くなる
大手ハウスメーカーは、全国のテレビCMも多数出稿し、一般的に広く知られている全国規模の住宅メーカーです。
一方で工務店は地域密着型であり、中小規模となる住宅メーカーです。
大手ハウスメーカーの方が高い、ということは誰でも知っていることかもしれません。
しかしその事実を知るだけでは不十分です。重要なのは、価格差とその理由です。
ハウスメーカーと工務店の価格差はどれくらいなのか? 差は2~3割って本当?
大手ハウスメーカーの方が高くなるのはなんとなくイメージできますが、では実際にどれくらいの価格差になるのでしょうか。
坪単価による比較
それぞれの坪単価は以下の通りです。
大手ハウスメーカーの間でも価格差はありますし、住宅設備や内装にどこまでこだわるかでも大きく変わってくるので、あくまでも目安と捉えてください。
種類 | おおよその 坪単価 |
---|---|
大手ハウスメーカー | 70万円~ |
工務店 | 50万円~ |
ローコストハウスメーカー | 30万円~ |
建物の総費用による比較
坪単価の算出方法はメーカーにより異なりますが、諸費用や外構工事費などが含まれないことも多いので、ここからさらに10%~15%ほどかかってきます。
種類 | おおよその 坪単価 | 延床35坪の 家の価格 | 諸費用・外構工事費(10%) を含む価格 |
---|---|---|---|
大手ハウスメーカー | 70万円~ | 2,450万 | 2,695万 |
工務店 | 50万円~ | 1,750万 | 1,925万 |
総額でみると、延床35坪の家で、大手ハウスメーカーと工務店では770万円の価格差があり、4割(40%)ほど大手ハウスメーカの方が高いということがわかります。
これは建物本体の価格で、この他には土地の価格が大きくかかってきます。
土地の値段については大手ハウスメーカーと工務店で変わることは基本的にありません。
土地を含む総費用による比較
仮に土地の値段を2,000万円とした場合の、価格の違いは以下の通りです。
種類 | おおよその 坪単価 | 延床35坪の 家の価格 | 諸費用・外構工事費(10%) を含む価格 | 土地(2,000万)を 含む価格 |
---|---|---|---|---|
大手ハウスメーカー | 70万円~ | 2,450万 | 2,695万 | 4,695万 |
工務店 | 50万円~ | 1,750万 | 1,925万 | 3,925万 |
価格差は770万円のままですが、大手ハウスメーカーと工務店の費用を割合で見ると、2~3割(26%)ほど大手ハウスメーカーの方が高いという結果になりました。
大手ハウスメーカーと工務店では、おおよそ2~3割ほど価格が変わってくると言われていますが、その通りであることがわかります。
ただ、よくよく考えてみると、土地の価値というのはハウスメーカーか工務店かというのには関係ありません。
ハウスメーカーと工務店の価格差を知りたいのであれば、建物にかかっている総費用を考える方が適切です。
そうすると2~3割ではなく、さきほどの4割の方がハウスメーカーと工務店の真の価格差といえます。
家だと分かりづらいですが、身近な服やバッグで考えると分かりやすくなります。
大手ブランド品とノーブランド品では、4割の価格差があっても全く不思議ではないですよね。
大手ハウスメーカーの方が高い理由は広告宣伝費ではない?
ハウスメーカーの方が高いということは分かりましたが、その理由は何でしょうか?
よく、「大手ハウスメーカーは多額の広告宣伝費を使っているから高いんだ」ということを耳にします。
私たちは大量のCMを目にしているので、なるほどそういうものかと納得してしまいます。
確かに広告宣伝にも力を入れているのですが、そのぶん沢山の家が売れているので、広告宣伝費を一軒あたりにかかっている経費でみると、そこまで大きなものではありません。
しかし、メーカーにおいて経費というのは広告宣伝費だけではありません。
その他にも様々な経費が掛かっており、それが住宅の価格として私たちに請求されることになります。
では、具体的にはどういった経費が掛かっているのでしょうか?
大手ハウスメーカーが高い本当の理由は何か?
膨大な人件費がかかっている
多くのお客がいれば、もちろんそれに対応する営業マンも沢山必要
そして、大手ハウスメーカーの営業マンの年収は、住宅業界の平均的な営業マンの方が高い傾向があります。
いまは人手不足で人材の獲得競争が激しくなっており、待遇がよくないと人が集まらないためです。
また、営業だけでなく、それを支える事務員も必然的に多くなります。
その他、経理や総務などの管理部門も、企業が大きくなるほど人が多くなっていきます。
たとえ売れる家の数が多いとしても、それではカバーしきれないほど人件費は膨らみ、結局は住宅の販売価格となってあらわれてきます。
モデルハウスに経費がかかっている
住宅展示場の使用料というものもかかりますが、そこに人を連れてくるためのキャンペーンにも多額の費用が掛かります。
また、住宅展示場は億を超えるような最高グレードの物件となることも多いです。さらに、技術は日々進化していきますので、ある程度の期間が経てばまたそれを建て直す必要があります。
そして、そのような家が全国に何十とあると考えてみてください。
いったいどれほどの経費が発生しているのか、想像するのも恐ろしいですよね。
研究開発費がかかっている
大手ハウスメーカーは、ただ家を建てればいいというものではありません。
他社との差別化のために、独自技術の開発に力を入れる必要があります。
何か自社だけのウリがないと、営業マンもお客に何を訴求していいのかわからず困ってしまいます。
そのため、研究開発にも力を入れ、日々努力を続けています。
この経費は、最終的な価格という点では購入者にとってデメリットとなりますが、独自性や性能による家の魅力という点では購入者のメリットとなります。
なにかそのハウスメーカーならではの魅力があり、購入者がそれに惹かれるのであれば、そのハウスメーカーを選ぶ大きな理由になります。
工事を工務店に外注している
販売や設計、現場監督などは自身で行うが、工事は地元の工務店を下請けとして発注する
大手ハウスメーカーは、すべての工事を自社で行っている、ということはほとんどありません。
これの何が問題かというと、工事に対して、大手ハウスメーカーと工務店がそれぞれ利益を上乗せするため、最終的に価格が高くなってしまう傾向があるということです。
また、どれだけ設計がしっかりしていても、工事が外注になるので、施工技術にばらつきがありコントロールが難しい、といった問題も発生します。
確かに大手は素材の性能はいいのですが、気密性といった住宅性能が優良工務店よりも悪くなりがちなのには、こういった事情があります。
アフターフォローや保証に力を入れている
そういった対応にもスタッフは多く必要になりますし、サポートは無償で行われるケースも多いです。
無償のアフターフォロー、というと聞こえはいいですが、結局はその費用も住宅価格に転嫁されてしまっています。
価格の点でいえばデメリットですが、ここで得られる安心感は購入者にとって大きなメリットとなります。
ただし、点検は無償でも修理は有償ということもあるので注意しましょう。
工務店の方が安い理由は何か?
ハウスメーカーが高い理由の裏返しであることが多いですが、工務店の方が安いのにも理由はあります。
地元に流通網をもっていて資材を効率的に仕入れているから、といったことも言われます。
しかし、大手もそのスケールメリットを生かして住宅設備や木材など、良質なものを安価に仕入れることができるため、むしろ大手の方が有利になることもあります。
では、その他にはどういった理由が考えられるでしょうか。
大手に比べて人件費が少ない
大手の社員の方が年収が高い傾向があり、福利厚生なども考えると一人当たりの人件費は大手の方が高くなります。
また、工務店は管理部門も最小限で済むため、関わる人そのものが少なくなります。
費用というと原材料や広告費がイメージされがちですが、実は企業活動において人件費が占める割合は非常に高いです。
人件費について優位性のある工務店は、住宅価格も大手に比べ安くすることができます。
モデルハウスなどの経費がかからない
工務店はあまりモデルハウスに出展することはありません。
地元の大手工務店が出展するケースはありますが、それでも最小限です。
大手ハウスメーカーはモデルハウスに多額の経費をかけているというのはこれまでも言ってきましたが、工務店がこれと同じことをしてしまうと、大手に対して価格の優位性が薄れてしまい、太刀打ちできなくなってしまうからです。
大手ハウスメーカーと工務店で、同じ価格で家が建つのであれば、多くの人が大手ハウスメーカーを選びますよね。
工務店では人脈やお客の紹介、地元に絞った広告などで効率よくお客を獲得し、お客一人当たりにかかる費用を抑えています。
設計から工事の施工まで自社で完結する
大手からの請負ではなく、自身で独自に受注を得ている工務店は、ほとんどの工程を自社で進めます。
関係する企業の数が増えれば増えるほど、それぞれの企業の利益が上乗せされるため、購入者にとっては価格がどんどん大きくなってしまいます。
工務店だけで完結すれば、利益も適性な額でコントロールすることができ、最終的な価格は安くなります。
まとめ
大手ハウスメーカーの方が工務店より高いということは一般的にも知られていることですが、どれくらいの価格差があるのか、その理由は何なのか、ということをこれまで話してきました。
その内容を振り返ってまとめます。
大手ハウスメーカーと工務店の価格差
- 土地も含めると工務店より大手ハウスメーカーの方が2~3割ほど高い
- 建物だけで考えると工務店より大手ハウスメーカーの方が4割ほど高い!
大手ハウスメーカーと工務店の価格差の理由
大手ハウスメーカーが高い理由
・膨大な人件費がかかっている
・モデルハウスに経費がかかっている
・研究開発費がかかっている
・工事を工務店に外注している
工務店が安い理由
・大手に比べて人件費が少ない
・モデルハウスなどの経費がかからない
・設計から工事の施工まで自社で完結する
大手ハウスメーカーと工務店、結局どちらがいいのか
大手ハウスメーカーの方が工務店より高いのには、住宅性能に直結する原材料費だけでなく、様々な諸経費が理由であるということがわかりました。
純粋に建物だけで考えると4割ほどの価格差が発生することもあります。
もちろん土地を含めると大手ハウスメーカーと工務店の価格差は狭まりますが、土地はどちらであっても同等の価値を持つものです。両者を比較するときは建物価格だけで考えましょう。
一方で、大手ハウスメーカーには工務店にはない、研究開発による独自性やサポートの安心感がある、といったメリットもあります。
大手ハウスメーカーと工務店のどちらを選ぶかは、それらの大手の優位性に対して4割の価格差ほどの価値を感じられるのか、というのが判断基準になります。
知名度のある所で安心感のある家を建てたい、知名度はいらないがコスパよく家を建てたい、どちらなのかは人それぞれです。絶対的な正解というものはありません。
自分に合っているのはどちらなのかよく考え、自分だけの正解を見つけ出しましょう!