- 新卒で大手とベンチャーどちらへ行くか迷っている
- 自分が大手とベンチャーどちらに向いているか知りたい
大手企業に新卒で入社し、現在はリモートワークを実践するうめです
大手(大企業)かベンチャーか、というのは就活生にとって永遠のテーマの一つです。
迷う人も多いと思います。
結論から言ってしまうと、新卒なら大手企業を目指すべきです。
絶対的に大手企業を賞賛しているわけではありません。ベンチャーにはベンチャーの良さがあります。
私も就活の時にはベンチャーも視野に入れましたし、ベンチャーマインドのある子会社に出向してその良さも十分に分かっています。
しかし、「新卒」で「迷いなくベンチャーに行く決意の無い人」には大手企業をオススメします。
乱暴な言い方をすると、
「迷うくらいなら大手に行け」
ということを伝えるため理由を詳しく解説します。
大手とベンチャーの比較
大手とベンチャーの違い
大手とベンチャーの違いについて、多くの方がざっくりとしたイメージは持っているでしょう。
そのイメージを更に明確にするため、まずは大手とベンチャーの見分け方を知りましょう。
- 一般的には「従業員300人を超える、かつ資本金3億円を超える企業」
- 就活性の感覚としては「従業員数が1,000人を超えていたり、東証プライムやスタンダードに上場している企業」
- 創業から10年以下
- 社員の平均年齢が若く20~30代程度
ベンチャーには明確な定義は存在しないため、おおよその値を記載しました。
今回は、これらの定義をもとに、新卒で入るべき会社が何か解説します。
大手とベンチャーの特徴
大手企業とベンチャーの、一般的な特徴は以下の通りです。
・安定している
・業務範囲が限定的
・年功序列
・社内調整が多い
・社会的影響が大きい
・経営層との距離が遠い
・不安定
・裁量権が大きい
・実力主義
・意思決定が早い
・新しい価値を生み出す
・経営層との距離が近い
もちろん、企業によって異なる点もあるため、これらは一般的な傾向です。
これだけ見るとやはりベンチャー企業にも多くの魅力がありますね。
ベンチャーから急成長を遂げて大手企業になった「メガベンチャー」と呼ばれる企業もあります。
これらの企業はベンチャーと大手それぞれの良さを兼ね備えます。
上場を成し遂げたメガベンチャーは、大手ならではのメリットもしっかり持っていることが多いです。
ただしメガベンチャーも、成長を続けるうちに大企業ならではのデメリットを抱えることになり、それらの解消が経営課題となります。
新卒で入るべき会社は大手企業である理由
ここまで読むと、ベンチャーにも多くのメリットがあるように思えます。
ここからは、なぜ私が新卒入社に大手を強くオススメするのかをお伝えします。
大手からベンチャーには行けるが、ベンチャーから大手は難しい
大手に入社することは、それだけでも実績の一つになる
大手企業に入社するためには厳しい選考を勝ち抜く必要があります。
書類選考や複数回の面接を経て、ようやく入社できます。
そのため、大手企業の選考を通った人は、「ある程度の質が保証された人材である」と言えます。
大手出身というのは、それだけでステータスになり、転職市場で重宝されます。
逆に、日本では「大手企業への転職」のハードルは非常に高いです。
新卒採用からの終身雇用が少しずつ崩れてきているとはいえ、まだまだ新卒至上主義の世の中です。
大手企業は新卒を大量採用し、長い年月をかけて幹部候補を育てていきます。
中途採用の枠は少ないままです。
ただし、大手からベンチャーに転職したからといって、活躍できるとは限りません。
大手という看板を失い成果をあげられない人や、ベンチャーの雰囲気にあわず潰れてしまう人も多くいます。
結局は個人の能力次第です。学歴や経歴だけで実力を測ることはできません。
ただし、企業の採用活動において効率的にフィルタリングするための条件として、経歴というものは有効に働くため、大手出身の方が幅広い選択肢を持てるのは間違いありません。
転職ではWEB試験や書類選考よりも、面接が重要になりますが、大手企業出身の方が面接にたどり着きやすいです。
また、人事担当や現場がマネージャー層にその求職者を推薦しやすい、という側面もあります。
自社に合わない人を推薦してしまうと、その人の評価にも関わるため、面接を担当する社員も慎重な姿勢になります。
大手にも優秀な人は多い
「優秀な人たちと一緒に働きたい」と言ってベンチャーを志望する学生がいます。
確かにベンチャーにはモチベーションの高い人材が多く、刺激的かと思います。
しかし、大手企業にも優秀な人は沢山います。
実際に働いていて、大手企業は能力の平均値がかなり高いな、と感じます
大手企業は、受験と就活の競争を勝ち抜き、さらに大手企業内部の競争にも勝ち抜いてきた人の集まりです。
優秀でないはずがありません。
大手企業には、能力はあっても安定的な環境の中でモチベーションを失った人が多くいるのも確かです。
ただし、目標にできるような優秀な人も沢山いるので、そのような人を中心に友好関係を深めれば問題ありません。
大手では安定した教育制度のもとで成長できる
「圧倒的スピードで成長したい」と言ってベンチャーを志望する学生がいます。
本当にベンチャーの方が成長できるのでしょうか?
ベンチャーは「成長するための場」ではなく、「成果をあげるための場」です。
ベンチャーで教育制度が整っている環境は稀です。
成長したい、となんとなく考えている人の居場所はありません。
どれだけ意欲があったとしても、経験も研修もないまま現場に放り込まれて、成果を求められる環境の重圧はかなりのものです。
一方、大手企業では教育制度が整っています。
採用直後の新人に成果をあげることを求めていないからです。
「ポテンシャル」に期待して集めた新人を「数年間かけて会社のエース級に育て上げる」という構造を大手は持っています。
安定的に成長できるのは大手の方です。
大手ではビジネススキルの基礎やマネジメントスキルを学ぶことができる
ベンチャーは一人当たりの裁量が大きいです。
幅広い業務を担当するため、様々な経験を積めます。
しかし、一人であげられる成果には限りがあります。
大きな成果をあげるためには「チームで協業する」ことが求められます。
大手企業では徹底的な「報告・連絡・相談」が求められます。
面倒なことも多く、スピード感に欠けると不満に思うこともあるかもしれません。
しかし、そうした大規模組織での折衝能力は将来必ず役に立ちます。
大企業では、若いうちから他のチームや協力会社のマネジメントを任されることも多いです。
最終的に大きな成果を出すためには、「チームとして成果を最大限に高める」ことが不可欠です。
マネジメントスキルを学ぶチャンスにあふれた大企業は魅力的です。
大手企業ならではのメリットとは
- 優秀な同僚が多い
- 安定した教育体制がある
- マネジメントスキルを学べる
というメリットが大手企業にあるのはこれまでお伝えした通りです。
さらに、大手企業にはその他にも様々なメリットが存在します。
職場や職種を異動で変えやすい
新卒では特に、実際に仕事をしてみると「その仕事が自分に合っていない」「上司や同僚との相性が良くない」といったことは起こり得ます。
ベンチャーの場合は規模も小さく、ビジネスの範囲も限定的であるため、もし自分に合わなかったときは逃げ場がありません。
しかし大手企業であれば、オフィスも複数あり、部署や職種も多岐にわたります。
大手企業でどうしても仕事になじめない時には、人事に相談して部署や職種を変更してもらうことができます。
異なる職種や領域への転職となると、これまでの経験を活かしづらくキャリアが停滞するリスクがあります。
そうしたリスクを負わず、転職ではなく異動で環境を大きく変えられるのは大手企業のメリットです。
私も様々な経験を積むため、希望して何度か異動させてもらっています
同僚の理解力が高くストレスが少ない
高校・大学では、自分に近しい属性の人と関わることが多いです。
しかし社会人になると、本当に様々な人と一緒に仕事をすることになります。
中には「どうしてそんな簡単なことが分からないんだ……」「どうして平気で嘘をつくんだ……」と困惑してしまうこともあります。
大手企業では、厳しい就活を乗り越え、一定以上の学力やコミュニケーション力のある人が揃っています。
もちろん大手企業でも、相手のモチベーションが低くて動いてくれない、部署間で利害関係があって調整が大変、といったことはあります。
しかし、話が通じなくて困る、理不尽な目にあう、ということはめったにありません。
社内コミュニケーションのしやすさは仕事の進めやすさに直結するため、とても重要です。
経済的な不安が少ない
大手企業も将来安定ではない、ということはよく言われます。
それはその通りです。
しかし「ほとんどの大企業は少なくとも数年~十数年は倒産の危機がない」ものです。
大手であることだけにあぐらをかいて、なにもスキルを身に付けなければ将来路頭に迷う可能性はありますが、「大手に入って、きちんと市場価値を高められるようスキルアップに取り組む」のがなによりも安定的に成長を目指せる選択です。
生活が安定していなければ仕事のパフォーマンスも上がりません。
ベンチャーの中でも、来年どうなるか分からない規模の会社では、不安を抱えながら働かなければなりません。
ローンや婚活で有利
少し生々しい話になりますが、大きなローンを組む時や、結婚を考えた時に大手企業の方が有利になります。
特に住宅ローンを組む時、個人よりも勤め先の信用性が重要になります。
比較的高収入で、安定した大企業に勤める人は、希望する額のローンを組める可能性が高まります。
また、結婚については、特に男性はその影響が強まります。
年収が低いほど未婚率は高くなります。
年収が高いほど結婚できる、というのは明らかな事実です。
そして、年収は企業規模が大きいほど高くなります。
もちろんベンチャーで結婚を考える歳までに大きく稼げるようになれば何の問題もありませんが、キャリアアップに失敗した時のリスクは考慮しなければいけません。
ベンチャーならではのメリットとは
新卒で大手企業に入った方がいいということがお伝えしましたが、もちろんベンチャーにはベンチャーなりの良さがあります。
社内の承認のプロセスが少なく意思決定が速い
直属の上司のOKだけで仕事が進むことも
大手企業ではビジネスの規模も大きく、関わる人や部署も多くなるため、様々な人から承認(決裁)を取る必要があります。
しかしベンチャーでは意思決定のプロセスが多層にはなっておらず、決定権をもった上司一人の承認だけでその仕事を進められることもあります。
風通しの悪さや意思決定の遅さが大企業のデメリットであり、一方で意思決定の速さがベンチャーのメリットです。
裁量が大きい
一人で幅広い仕事をできる
大企業では確実性が重視されており、単に承認プロセスが多層になっているだけでなく、様々な社内ルールが存在します。
しかしベンチャーは人員も限られるため、一人で多様な仕事を、スピード感をもって進めなければなりません。
その分、いちいち誰かにお願いしたり承認を得たりすることなく、自分の考えで様々な仕事に取り組める環境がベンチャーにはあります。
実務力が身につく
大手企業では仕事が細かく分業制になっているため、ひとりで進められる仕事の幅が狭まることがあります。
現場のことを理解せず、実務を関連会社に丸投げしたり、プロジェクトマネジメントだけを行っていたり、ということが大企業では起こり得ます。
一方でベンチャー企業では、基本的に自分たちで仕事を進めていくことになります。
ベンチャーでは実務的な部分で自分たちの手を動かしスキルアップできます。
新卒でベンチャーに入るべき人とは
これまで大手企業のメリットを整理してきました。
では新卒は全員が大手企業を目指すべきかというと、そうではありません。
ベンチャーに入るべき人も一定数います。
ここからは、ベンチャーに向いた人がどういう人か、まとめていきます。
学生の頃からベンチャーで働き成果をあげている人
学生の頃からベンチャー企業などに所属し、既に成果をあげている人は、社会人としてベンチャー企業に所属してもうまくやっていけます。
就職活動になって「ベンチャーってどんなだろう」と言っているようでは遅いです。
ベンチャーで成果をあげられる人材は、学生時代から既に行動を起こしています。
ベンチャーに関わっていなくとも、学生時代に何らかの成果をあげている人が求められます。
学生時代を何となく過ごし、「ベンチャーの方が成長できるかな」と今さら迷っている人は、ベンチャーマインドを持っていないと言えます。
素直に大手を目指しましょう。
所属企業が潰れてもやっていける専門性を身につけている人
ベンチャー企業は常に倒産のリスクを抱えています。
大手企業もそれは同じですが、確率は大きく違います。
会社が潰れても、すぐに次を見つけられる専門性を持っている人には、ベンチャーもオススメできます。
成果主義の会社で大きな報酬を得ることもできるでしょう。
スキルさえあれば、その会社に合わないと思えば、転職すればいいだけですし、自由度も高いです。
迷うまでもなくベンチャーで働く理由を見つけている人
「大手とベンチャーどっちにしようかな」と迷うのではなく、既に明確にベンチャーで働く理由を持っている人にも、ベンチャーはオススメできます。
起業までの計画を既に立て、自分が身につけるべき能力や経験を整理できている人などが、それにあたります。
中小企業はオススメできるか
大手とベンチャーが比べられることは多ですが、中小企業とその他が比較されることはあまりありません。
なぜでしょうか。
中小企業ならではのメリットは少ない
大手ならでは、ベンチャーならでは、のメリットはあります。
しかし、中小ならでは、のメリットはあまりありません。
そのため、中小企業が比較対象としてあげられることが無いと考えられます。
中小企業は、ベンチャーならではの良さが薄れ、大企業ならではの良さには及ばない、といった立ち位置です。
中小企業にも多数の優良企業が存在する
一般の消費者には知られていない中小の優良企業は数え切れないくらい沢山存在します。
その中には大手をしのぐ優良企業も数多くあります。
ただし、それらは個別の企業が良いのであって、「中小企業だから良い」といったことはありません。
優良企業を逃さないための情報収集は欠かせませんが、あえて中小企業だけを目指す理由はありません。
ただし、「中小企業を目指す」のではなく「入りたい企業が中小企業だった」という形であれば何の問題もありません。
さいごに
ベンチャーにはベンチャーにしか無いメリットも沢山あります。
ただし、「ベンチャーに適合する人の割合」は低いです。
そして、就職活動が始まった段階でベンチャーから大手で迷っている人の多くは、ベンチャーには向いていないはずです。
ベンチャーか大手か迷うくらいなら大手に行け!
と偉そうに言っているのはそういった理由があるからです。
日本において、「新卒」というのは一度しか使えない非常に強力なカードです。
どう使うべきか、慎重に考えましょう。
行きたい会社が決まったら、後はそこを目指して頑張るのみです。
就活で特に重要な面接について、以下の記事にまとめていますので興味があればお読みください。