- リモートワーク(テレワーク)をしていて、メンタルの不調を感じる
- メンタルの問題はないが、長く続けるとこの先のメンタルが心配
- リモートワークに興味はあるが、自分に向いているのか気になる
- リモートワーク
- テレワーク
- 在宅勤務
フルリモートワーク(在宅勤務・テレワーク)を実践するうめです
リモートワーク(テレワーク)の普及によって、ワークライフバランスの向上、働き方の多様化など、様々なメリットを享受する人も増えてきました。
しかしその一方で、急激な環境の変化により、リモートワークが原因でメンタルの不調を感じる人もまた増えています。
実は私もその一人で、いまでこそリモートワークを上手く生活に取り入れていますが、はじめたての頃には生活リズムを作れず苦労しました。
メンタルも落ち込み、リモートワークを始める前よりも仕事の効率が落ちてしまった時期もありました。
この記事では、そんな私の実体験や、国の定める『テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き』の内容を踏まえて、リモートワークによるメンタル不調との向き合い方と改善策を解説します。
人事労務の観点ではなく、リモートワークで働く当事者としてできる対策をお伝えします
リモートワーク(テレワーク)のメンタル不調の原因
リモートワークによるメンタル不調は、単に個人の性質による問題ではなく、環境的なストレス要因によるものが大きいです。
リモートワークにおけるストレス要因には、様々なものがあります。
データで見るリモートワーカーの不安
- やる気が出ない:31.5%
- オンとオフの切り替え:23.3%
- 閉塞感や孤独:22.8%
がトップにきており、モチベーションやメンタルの面で不安を感じるリモートワーカーが多いです。
- 上司や同僚、取引先との信頼関係:18.4%
- 仕事の全体像がつかみづらい:17.7%
- 仕事の効率が下がった:16.1%
と続き、業務効率低下の不安がメンタル不調の不安に次いで多いです。
職場のストレス要因
対人関係(コミュニケーション不足)
リモートワークは在宅勤務となることが多く、物理的に職場の上司や同僚とのコミュニケーションが激減します。
いままでは意識していなかったものの、意外と雑談も大事で、それが気分転換や情報交換になっていたのだと、私もリモートワークを始めてから気づきました。
人と話す機会が極端に減ることで、考え込んだり沈み込んだり、気力が落ちてきたり、ということが起こります。
特に、新入社員など、社内での人脈が不十分な方は、このストレスを感じる傾向が強いようです。
職場環境(物理的要因)
在宅勤務の場合は特にこの要因は大きいです。
オフィスはもちろん働くための場として最適化されています。しかし自宅はもともと仕事をする場所として想定されてはいません。
デスクや周辺機器が整っておらず、むしろ業務効率が落ちてしまうかもしれません。
空調や室内灯も働く場所としては不十分で、さらには電気代などのラインニング費用もかかってしまう
仕事の量的な負担
リモートワークによって仕事量が増えてしまう方が一定数います。
上司や同僚からも働き方が見えづらくなり、労務管理が難しくなり、業務過多になっても改善されないままとなってしまうことがあります。
適正度
リモートワークでは、ICTを活用したテレワークの性質も持っていることが多いです。
環境や働き方が変わったことにより、これまでは利用していなかったITツールを多く使いこなす必要が出てきます。
もともとITツールの利用が苦手だった方にとっては、リモートワークによって業務効率が落ちる結果となり、ストレスを抱えてしまいます。
職場環境(心理社会的要因)
よくあるものとして「社員間での働き方の際への不満」があります。
リモートワークによって、待遇や評価の制度化がこれまで以上に難しくなり、不公平感が生まれてしまいます。
また、職種や業務内容によって、リモートワークをできる人とできない人で分かれます。
リモートワークをできない人は「ズルい」という感情を抱いてしまい、リモートワークで働く人も肩身の狭さを感じる
職場以外のストレス要因
家庭環境
オフィス勤務では仕事中と仕事後のプライベートがきっちり分かれており、家庭でもそれを前提とした生活リズムがあります。
しかしリモートワークによって、これまで上手くいっていたものが、上手くいかなくなってしまう家庭もあります。
例えば日中も夜も家の中でリモートワーカーがWEB会議をする時には、家族はそれに気を遣って過ごさなければなりません。
家の中にいる時間が増えるため、これまで通りの家事の分担では、どちらか一方が不満を抱えてしまうかもしれません。
リモートワークによって、仕事どころか、大事な家庭にまで悪影響を及ぼしてしまうことになります。
また、単身者・一人暮らしの場合でも、疎外感や孤独感を感じやすいなど、家族と暮らしている方とはまた違ったストレスを抱えることになります。
ワークライフバランス
よく「リモートワークのサボり」が話題となりますが、むしろ実際にリモートワークする中でよく見るのが「公私の区別があいまいになってずっと仕事してしまう」という人です。
通勤がなくなって自由に使える時間も増えるはずなのに、それも仕事の時間となり、さらにはプライベートな時間にまで仕事をしてしまう、という状態になります。
リモートワークによって、むしろワークライフバランスが悪くなる、という最悪の結果です。
個人的な要因
生活習慣
通勤や外出がなくなることで、運動不足に陥ったり、生活リズムが不規則となったりします。
朝起きてから一歩も外に出ないまま仕事をはじめてしまうなど、あまり時間の移り変わりを感じられない生活を続けることで、気分転換できず不調の要因となってしまいます。
リモートワークに(テレワーク)によって不調になりやすい人の特徴
メンタル不調の要因はこれまでお伝えした通り様々あり、リモートワークをする人は誰でもなり得ます。
ただ、不調になりやすい人の属性や傾向もあるので、あてはまる方は注意が必要です。
これまで外出や出張の多かった人
これまで外出や出張の多かった人は、特にリモートワークによる環境や行動リズムの変化が激しい
これまでの働き方でリズムができており、移動時間が自覚のないうちに良い気分転換になっていた、ということもあります。
外回りの営業職など、もともと個人の特性や性格に合ってそういった職種に就かれていた方にとっては、リモートワークがストレスに感じられてしまいます。
ワンルームや1Kの間取りで暮らしている人
これはまさに私のことなのですが、リモートワークが始まった時、私はこういった間取りで暮らしていました。
寝るためのベッドも、食事のためのダイニングテーブルも、すべて同じ部屋の中にあります。専用のデスクを置く場所もないため、パソコンやモバイルモニターをダイニングテーブルの上に広げて仕事をしていました。
起床、仕事、食事、就寝と、生活のほとんどを同じ場所で過ごし、仕事とプライベートの区別もあいまいとなり、だんだんとストレスの不調を感じるようになっていきました。
なかなか仕事に集中できないことで、自分を責めてさらにストレスをためていく、悪循環に陥っていました
いまの職場への所属年数が短い人
新入社員などは特に注意が必要
まだ社歴の浅い方は、周りの様子をみながら仕事を覚えていきます。
物理的にすぐ近くにいるのであれば質問もしやすいですが、リモートワークとなるとそうもいきません。
また、社内人脈があれば、用事を頼み頼まれ、自然と交流が生まれていくのですが、まだ仕事も少なく人脈も浅い人は、取り残されて疎外感を感じてしまうことがあります。
対人コミュニケーションが好きな人
職場を見ていても「おしゃべり好き」な人は良くいると思います。
また、そうでなくとも、業務上様々な人を巻き込んで、とりまとめて仕事を動かしていくタイプの人もいます。
そういった方々は、リモートワークによってこれまでのやり方でコミュニケーションを取れなくなり、自分の強みを仕事にも活かしづらくなりストレスにつながってしまいます。
リモートワーク(テレワーク)のメンタル不調を自覚するためには
メンタル不調は一般的に早期発見が難しいと言われています。
会社もその点は問題視していて、様々な対策を講じていますが、全ての職場で制度が整っているとは言えないのが現実です。
会社頼みになるのではなく、リモートワークで働く自分自身でメンタル不調の予兆に気づいて、不調のどん底に落ち込む前に改善に動くのが理想
メンタル不調の予兆
- 食欲の低下や不眠
- 遅刻、早退、欠勤などが増えて勤怠が不安定になる
- 基本的な報告が漏れる
- 仕事でかんたんなミスが増える
- 仕事が手につかず集中できない時間が増える
上記のような症状が現れることが多いようです。
これがひどくなっていくと、最悪の場合はうつ状態になりかねません。
メンタル不調をリモートワーカーが自覚するには
メンタルが不調な時には、視野が狭くなっていることがほとんどです。
週末時間があるときなどに、今の状態を意識して客観視してみてください。
私の場合は、「仕事が手につかず集中できない時間が増える」という状態になりつつありましたが、良くない方向に向かっていることを自覚できたことで、この後ご説明する対策や改善に、自発的に取り組むことができました。
リモートワーク(テレワーク)のメンタル不調への対策・改善
主要な課題への各対策
対人関係(コミュニケーション不足)への対策
・コミュニケーションの定期化
チャットやWEB会議システムを積極的に使って、リモートワークでも積極的に職場とのコミュニケーションを取ることができます。
しかしそれだけでは個人や環境によって偏りが生じてしまいますので、定期的に話せる仕組みが必要です。
無駄な長時間の会議は避けるべきですが、個人的には、リモートワークになってからより定例の重要性を再認識しています。
議題が少なければ早めに解散するなどして構いませんので、週に一回以上の何かしらの定例会はあった方がいいと思います。
・出社とリモートを使い分ける
リモートワークを行っていても、オフィスが通勤可能な距離にあるのであれば、あえてオフィスへ出社するのも手です。
必要がないとついずっとリモートで働いてしまいがちですが、曜日を決めて出社することでコミュニケーション不足も解消し、生活リズムを作ることもできます。
職場環境(物理的要因)への対策
・シェアオフィスの利用
自宅での勤務が難しい場合は、オフィスでなくても、家から近いシェアオフィスやコワーキングスペースで働くのもいいでしょう。
ただし、会社員である場合は、社内ルールに則る必要がありますので、会社に相談するようにしてください。
・在宅勤務手当やパソコン周辺機器手当の利用
リモートワークを取り入れる会社では、光熱費の補填や、会社費用でのパソコン周辺機器や消耗品の購入を支援するところもあります。
もちろんそのようにして揃えたものは、個人の持ち物ではなく会社の資産として、しっかり管理する必要はありますが、働きにくさを感じる方は会社の制度を確認したり、相談したりするようにしましょう。
仕事の量的な負担への対策
パソコンや業務用スマートフォンも、しっかりと業務終了の連絡を職場や上長へ送った後は、極力見ないようにすべきです。
また、リモートワークではこれまで以上に「報告」の重要性が高まります。
オフィス勤務よりも、こまめに詳細な内容を勤怠管理者へ報告するようにしましょう。
会社はひとりひとりの状況について把握することは困難です。
自分を守るためにも、面倒だと思わず、自発的に自分の状況を共有する、報告する、という意識をつけるようにしましょう。
適正度(ICT等への習熟度)への対策
これも個人ではなかなか解決の難しい問題です。
ITツールをうまく使いこなせていないように感じた時などは、全てを自分で解決しようとするのではなく、詳しい人の助けを借りるようにしてください。
これは一人だけの問題でなく、誰かが課題に感じているのであれば、きっと他にも同様の思いをしている人がいるはずです。
分からないことをしっかりまとめておいて、出社の機会を作って、その際にまとめて習得できるようにすると効率的です。
なかなか個人に対しては聞きづらい、といったことがあれば、社内研修の開催を求めるなど、現状の課題を社内ITサポートに相談するようにしましょう。
職場環境(心理社会的要因)への対策
これは、従業員間の不公平感等への課題のことだと、先ほどお伝えしました。
なかなかリモートワーカー個人では解決が難しい課題です。
開き直って周りの声を気にせずに、しっかりと成果を上げられるよう働ければいいですが、なかなか上手くいかないケースもあるでしょう。
リモートワークであっても、オンラインでのコミュニケーションは密にとるようにし、業務で助け合える関係性を地道に築いていくしかありません。
筆者がリモートワークを実践して特に役立ったと感じる対策
これまでお話しした対策に加え、個人的にテレワークをしながらメンタル不調対策として役立った、身近な生活改善方法をお伝えします
朝散歩(日光を浴びる)
メンタルの不調は身体からくる
朝起きてから、気分を切り替えることもなく仕事に入る生活を続けていると、じわじわとメンタルがむしばまれていきます。
あえて朝外に出て、決まった場所まで往復の散歩をすることで、出勤と同じような生活リズムを作るようにしてから、かなりメンタルが好転していきました。
もちろん通勤時間がなくなることはリモートワークのメリットですので、それを損なわないよう、余り長時間ではなく往復で十分から十五分程度の散歩で十分です。
近くの神社や公園など、ちょうどいい目的地を決めておくといいと思います。
特に、日光はバカにできない存在です。日光をあびると体内時計がしっかりリセットされるような感覚があります。
リモートワークになってからあまり日光を浴びていない、という心当たりがある方は、まず外に出るようにしてください
メンタル不調を感じられる方は、いきなり心をどうにかしようとするのではなく、身体の環境を変え、物理的に動く機会を増やすようにしてください。
身だしなみを整える
ついパジャマに近い恰好のまま仕事をしたり、WEB会議がない日には髪やヒゲも整えないままにしたり、といった生活をしていました。
しかし、身だしなみを整えることは、出勤と同じように「仕事モードスイッチ」を押す作業にもなります。
ビジネスカジュアルのかんたんな格好でいいので、人のためのマナーというよりは、自分のために身だしなみを整えるようにしてください。
外でランチを食べる
朝だけでなく、昼も外に出る機会を作るため、外でランチを取るようにしていました。
何を食べるか考え、毎回違う店に出向くことで、これはいい気分転換になっていました。
仕事中にBGMをかける
実はBGMもかなり大切な要素です。
静かな中で、ずっと一人で働く、ということをしていると知らず知らずのうちにメンタルが弱っていきます。
Bluetoothスピーカーを用意し、お気に入りの曲をBGMとして流すようにすると、気分も高まります
音楽のサブスクで、プレイリストが定期的に更新されるものを使うと、飽きもせず重宝します。
音楽を聴くことで集中力がそがれてしまう方は、ジャズや洋楽などを小さめの音量で流すようにしてください。
ポモドーロテクニック(小休憩をとる)
職場にいると、作業中に誰かが話しかけて集中力が途切れてしまう、といった経験をされた方も多いかもしれません。
実はそれも小休憩としての役割を果たしていたのだ、とリモートワークを始めてから気づきました。
リモートワークでは、誰も邪魔して来る人もおらず、小休憩をとることなくずっと作業してしまうことがあります。
業務効率が上がっているようで、実は自分を蝕むような働き方のため、むしろメンタル不調につながるなど非効率になってしまいます。
これは「25分間の作業」と「5分間の休憩」を交互に繰り返すというものです。
さらに細かいやり方がいろいろありますが、そこは重要ではありません。
大事なのは「作業の時間と休憩の時間を、強制的に確保する」ということです。それぞれをどれくらいの長さとするのかは、個人で決めて問題ありません。
いろいろ時間を変えて試しながら、チューニングしていってください。
夕方まで集中力を保てるようになり、休憩は増えましたが、業務効率は全体でみると間違いなく上がりました。
スマホアプリでもいいのですが、こちらの物理的なタイマーを導入したところ、残りの作業時間が一目でわかり、集中力が向上しました。
定例と1on1の実施
これは前にも触れましたが、職場での定例や1on1は、上長や同僚とのコミュニケーションの面で、非常にありがたかったです。
業務の話だけでなく、リモートワークでなくなっていた、ちょっとした雑談の場としても役立ちました。
もしそういった機会がない方は、2週間に1回でも構いませんので、まずは1on1の実施を身近な上長にお願いしてみてください。
まとめ
- リモートワークのメンタル不調の原因は、個人の問題ではなく、環境の変化に起因するものも多い
- 企業が対策すべきものと、個人でできるものとそれぞれあるが、自分を守るためにも自発的にメンタル不調への対策に取り組んだ方がいい
- いきなり心を変えようとするのではなく、生活や身体から変えていくのもおすすめ
かなり長い記事になってしまいましたので、まとめは簡略にします。
気になることがあれば、目次からその部分だけぜひ読んでみてください。
リモートワークでメンタル不調に悩んだこともありましたが、身近な生活習慣から変えることで、次第に好転していきました。ささいなことも多いですが、悩まれている方はぜひ実践してみてください。この経験が誰かの役に立てばうれしいです