- ワークライフバランスが取れる職種・業界を知りたい
- 平均残業時間、年収、満足度のデータを見たい
- 自分に合う職種・業界の選び方を知りたい
仕事と生活のバランスは、人生の質に直結します。
ワークライフバランスを取りたい、というのは多くの人が望むことです。
しかし、仕事にかける時間、残業時間は職種や業界によってある程度決まります。
個人の努力では変えることが難しいため、社会構造を理解し、自分の求める仕事を見つける必要があります。
また、残業時間が少なくても、自分の生活に必要な年収を得られなければ生活を充実させられない、といった問題もあります。
今回は、一人一人にとって最適なワークバランスを実現する仕事探しのため、平均残業時間・年収・満足度ランキングといった具体的なデータをもとに、おすすめの職種・業界を解説します。
そもそもワークライフバランスとは
ワークライフバランスとは
仕事(ワーク)と私生活(ライフ)の間のバランスを適切に保つことを指す
言葉だけで見ると「ひとりひとりが自分の時間を、仕事とそれ以外の生活で、どのような割合で分けているか」という意味です。
ただし、実際にワークライフバランスという言葉が使われる時には、「仕事」と「生活」のバランスがとれている状態そのものを指すことが多いです。
ワークライフバランスが取れている状態とは?
残業が少なく、必要な年収を得られ、私生活に時間を割ける
ワークライフバランスの考え方は、個々人によって異なります。
例えば、家族と過ごす時間を重視する人もいれば、自己実現のために仕事を優先する人もいます。
大切なのは、自分自身にとって最適なバランスを見つけることです
ただ単に残業(ワーク)が少なく、私生活(ライフ)の時間が長い、というだけではワークライフバランスがとれているとはいえません。
とはいえ、多くの人にとって『残業が少なく、必要な年収を得られている』というのはいい状態です。
経済的な不安がなく、私生活に柔軟に時間を使える状態であれば、一人一人に合ったワークライフバランスを実現できます。
ワークライフバランスの取れる職種ランキング
残業の少ない職種ランキング
残業時間の少なさは、ワークライフバランスを取るための重要な指標の一つです。
以下は、残業時間が比較的少ない職種のランキングです。
順位 | 職種名 | 分類 | 残業時間 |
---|---|---|---|
1 | 一般事務 | 事務 | 10.6時間 |
2 | 秘書/受付 | 事務 | 11.4時間 |
3 | 医療事務 | 事務 | 12.0時間 |
4 | 美容関連職(理美容/エステ/マッサージ) | その他 | 13.0時間 |
5 | 営業事務 | 事務 | 13.3時間 |
5 | 経理事務/財務事務 | 事務 | 13.3時間 |
7 | 学術/メディカルサイエンスリエゾン | その他 | 13.5時間 |
8 | 総務 | その他 | 13.8時間 |
9 | 販売/接客/売り場担当 | 営業 | 13.9時間 |
10 | 薬事(医療系専門職) | その他 | 14.0時間 |
11 | 総務事務/法務事務/知財事務/広報事務 | 事務 | 14.4時間 |
12 | 金融業界の個人営業 | 営業 | 14.5時間 |
13 | 分析/評価(素材/化学/食品系) | 技術 | 14.6時間 |
14 | 貿易事務 | 事務 | 15.2時間 |
15 | テレマーケティング/カスタマーサポート/コールセンター | その他 | 15.5時間 |
15 | 品質管理/品質保証(素材/化学/食品系) | 技術 | 15.5時間 |
17 | 社内SE | IT技術 | 16.0時間 |
18 | 品質管理/品質保証(医療系) | 技術 | 17.1時間 |
19 | Webエンジニア | IT技術 | 17.4時間 |
20 | 食品メーカーの営業/消費財メーカーの営業 | 営業 | 18.2時間 |
残業時間の少なさだけで言えば、事務職が多くランクインしています。
一般事務、医療事務、各種専門事務、様々な分野でそれぞれ残業時間を抑えられていることが分かります。
その他は、美容、学術、薬事、金融営業、品質管理、エンジニアなど、それぞれの専門性を強みに活躍している職種もランクインしています。
満足度の高い職種ランキング
従業員の満足度も、職場のワークライフバランスを反映しています。
満足度が高い職種は、仕事の充実感があり、私生活とのバランスも取れています。
ランキング | 職種 | 分類 |
---|---|---|
1 | データサイエンティスト | IT/通信系エンジニア |
2 | 財務 | 企画/管理 |
3 | ITコンサルタント(アプリ) | IT/通信系エンジニア |
4 | プリセールス | IT/通信系エンジニア |
5 | 研究開発/R&D(IT/通信) | IT/通信系エンジニア |
6 | 管理会計/内部統制 | 企画/管理 |
7 | 内装設計/インテリア建築 | 土木系エンジニア |
8 | 生産/製造(医療系) | 医療系専門職 |
9 | Webマーケティング | WEB(企画/管理) |
10 | Webディレクター/Webプロデューサー/Webプランナー | WEB(クリエイティブ) |
IT・通信系エンジニアと、WEB関連職が10位以内に6つ入るという結果になっています。
- 「在宅勤務やフレックスといった働き方が選べる」
- 「テレワークができる」
- 「ほぼリモートワークでマイペースに仕事ができる」
というように、リモートワーク(在宅勤務)に対する満足コメントが多く上がってます。
- 「新しい技術に触れながら前向きに働けている」
- 「自分のペースで仕事ができ、やりたい内容の提案もできる」
といった、仕事を前向きに進められているコメントも目立ちました。
職種別の平均年収
やはりコンサル系や企画・管理職は年収が高くなっています。
次いで電気・電子・機械・IT・通信といった技術系と、金融系専門職が高くなっています。
事務系、販売・サービス系は職種としての平均年収は低めです。
残業の少ない事務職は年収が低めで、多く稼ぎたい人は注意
ワークライフバランスの取れるおすすめの職種
残業、満足度、年収から総合的におすすめできる職種のご紹介です。
IT企画・エンジニア職
私もIT企画職ですので、実感を持っておすすめできます
残業の少なさ、満足度の高さ、年収の高さ、すべてで高水準なのがIT企画・エンジニア職です。
エンジニア職については、自分の好きなコトを仕事にできていることが、満足度の高さにもつながっています。
また、以下の通り、ITはリモートワークの導入率が非常に高い産業として知られています。
通勤時間がないため、家庭の用事や自分のリフレッシュ・自己研鑽に時間を割きやすいメリットがあります。
情報通信業(IT)が97.7%と圧倒的に高く、次いで金融・保険業が82.4%となっています。
「形のないモノ」を商材として扱う産業でリモートワークが普及していることが分かります。
従業員目線でも、やはり情報通信業と金融・保険業はリモートワークの実施率が高いです。
ただ、一つ注意点があります。
業界としての平均残業時間はそこまで高くありませんが、残業時間は会社によって大きくバラツキがあるのが実状です。
ヘルプデスク、社内SE、自社プロダクト開発といった分野では残業が少なく、クライアントの納期に左右される請負開発では残業が長くなる、といった傾向があります。
業界別の残業時間や、残業の少ない会社の探し方は後ほどご紹介します。
WEBマーケ・エンジニア職
基本的なメリット・デメリットはIT企画・エンジニア職と同じです。
通常のIT職と比べ、WEBマーケティング・WEBデザインといった、独自の職種があるのが特徴です。
こういった特定の分野に興味があればおすすめです。
金融専門職(FPなど)
IT系に次いでおすすめなのが、ファイナンシャルプランナーといった金融専門職です。
企業の経理・会計業務においてもオンライン化が進んでおり、意外にもIT業界に次いでリモートワークの導入率が高い業界です。
大手銀行を筆頭に、「長時間労働・パワハラ気質・高収入」のイメージのある業界ですが、効率化や多様化が進んでおり、その実態は企業によって大きく変わります。
金融業界ならではの高収入というメリットは変わっておらず、高収入のためにワークの比重を高めながらも、ライフもしっかりと確保したい、という方におすすめです。
IT系と同じく、会社によって残業時間や社風が大きく異なるため、後ほど紹介する「ワークライフバランスの取れる企業の探し方」を意識することが重要です。
BtoBメーカーの品質管理/品質保証
BtoBメーカーは他業種に比べて残業が少なく、一方で上場企業や優良企業が多いため高収入も得やすいのがメリットです。
残業の少なさや満足度の高さといったランキングの常連でもあります。
学生の就活の対象となる新卒採用では、食品メーカーや自動車メーカーといった名前の知れたBtoCメーカーに人気が集まるため、BtoBメーカーは比較的入社難易度の低いのもいい点です。
ただし、良い環境であるため離職率も低く、中途採用で入る難易度は少し高いのが難点です。
別業界からの転職も可能ですが、営業職・研究職などで、専門性や実績がないと中途採用で入るのは難しいです。
事務職全般
残業の短さを最優先するのであれば、事務職がおすすめです。
一般事務と専門事務、どちらも定時帰りが基本で、会社によって繁忙期に1時間前後の残業が発生するのが一般的です。
未経験者歓迎の求人も多いため、例えば飲食や接客といった仕事に携わっていた方でも目指すことができます。
最大のデメリットは、キャリアアップによる年収増を狙いづらいことです。
二十代の内はまだいいですが、事務職は経験を重ねても年収が上がりづらく、年齢が上がるほど周りとの年収差も広がります。
事務職で年収アップを狙うのであれば、一般事務に比べると医療事務・経理事務といった専門事務は収入を増やしやすいです。
自身の生活スタイルで、年収はそこそこでいいけど残業はあまりしたくないといった方におすすめです。
ワークライフバランスの取れる業界ランキング
残業の少ない業界ランキング
業界ごとに見た場合も、残業時間には大きくばらつきがあります。
業界名 | 平均残業時間(時間) |
---|---|
空運 | 10.3 |
繊維製品 | 21.2 |
ガラス・土石製品 | 24.7 |
石油・石炭製品 | 24.7 |
リース・消費者金融・クレカ | 25.3 |
医薬品 | 25.6 |
化学 | 25.6 |
水産・農林 | 26.3 |
銀行 | 26.9 |
小売 | 27.1 |
業界として残業の少ないランキングはこちらの通りです。
職種・雇用形態によって残業時間は大きく変わるため平均残業時間のデータは少ない
ご紹介したランキングも、少し古いデータになっています。
おすすめ職種の中でもご紹介した、BtoBの素材・化学といったメーカーは平均残業時間が他業界に比べると少ない傾向にあります。
もう少しざっくりとした区切りでの、業界別の残業状況は以下の通りです。
月間の平均残業時間は、2023年は約23時間です。
長時間労働のイメージのある「IT・通信・インターネット」は意外にも他業界の水準と大きく変わりません。
とはいえ、職種や会社によって残業時間は業界内でも大きく変わるため、ワークライフバランスを考える上では、業界よりも職種を優先して考えることが重要です。
ワークライフバランスの取れるおすすめの業界
IT・通信・インターネット
職種のパートでもご紹介した通り、IT系の職種はリモートワークも活用して満足度が高く、ワークライフバランスを保ちやすいためおすすめです。
ただし、業界全体でみると平均残業時間は短くないため、ワークライフバランスの取れる会社選びが非常に重要になります。
金融
満足度が高く年収もあげやすいためおすすめです。
ファイナンシャルプランナー、会計といった専門性を高めやすい職種もあり、生涯をかけてワークライフバランスを保ちながらキャリアアップを目指しやすい業界です。
IT系と同様に、会社によって残業時間が大きく異なるため、ワークライフバランスの取れる会社選びが重要です。
医療(メディカル)
医療事務、薬剤師といった専門職で、残業時間を抑えワークライフバランスを保ちながら働くことができます。
ただし、事務であっても労働環境は病院によって大きく異なり、看護師といったハードワークになりがちな職種もあるため注意が必要です。
人材派遣(事務)
職種のパートでも見てきたとおり、事務職は残業が少なくワークライフバランスを取りやすいです。
事務は全業界に存在しますが、人材派遣会社に登録することで、自身では業界を意識することなく仕事を見つけることができます。
雇用が不安定なイメージのある派遣ですが、派遣会社との間に正社員としての契約を結ぶ「無期雇用派遣・常用型派遣」も増えています。
ただし無期雇用派遣は年収アップは狙いづらく、経験を積んでも未経験者と年収はあまり変わりません。
年収アップを目指すのであれば、派遣先からの直接雇用や専門事務としてのキャリアアップを狙う必要があります。
自分に合った業界・職種の決め方
ワークライフバランスを重視する際、自分に合った職種や業界だけでなく、会社単位で自分にあった仕事を見極めることが重要です
残業時間の上限を決める
自分が許容できる残業時間の上限を明確に設定
どれだけ仕事が充実していようと、年収が高かろうと、健康を害してしまっては意味がありません。
どれだけ仕事をがんばれるか、体力や気力は個人によって大きく異なります。
まずは残業時間の上限を明確に定め、そこから他の条件を決めていく必要があります。
長時間残業のリスクは以下の記事にまとめています。
最低限求める年収を決める
理想の年収ではなく最低限求める年収を定める
年収は高ければ高いほどいいですよね。
しかし、一般低には年収が高いほどハードワークとなる傾向があります。
ワークライフバランスを取りたい、という観点では、最低限必要な年収を決めて求人の足切り条件として使うようにしてください。
高年収は不要で、自分の時間を大切にしたいということであれば事務職が適しています。
ある程度の年収が必要で、自分の時間も確保したいということであれば、例えばITや金融業界といったこれまでご紹介した職種・業界を目指す必要があります。
適正や将来的なキャリアアップを考える
キャリアパスも考慮に入れて、長期的に成長可能な職種や業界を選ぶ
残業時間と年収だけで仕事を選ぶと失敗してしまうことがあります。
どれだけ条件が良くとも、仕事内容は自分に合っていなければ長続きしません。
その仕事は自分に向いているのか、長く続けてキャリアアップもできるのか、という観点でも冷静に判断してください。
その他の優先度を明確にする
職選びにおいて重視する要素をリストアップ
残業時間・年収・業務内容が決まったら、あとはその他の細かい条件を決めます。
例えば以下のような条件が挙げられます。
- 通勤時間
- 勤務地の選択肢
- 福利厚生の充実度
- リモートワーク(在宅勤務)制度の有無
- 育休・産休の取得率、取得期間
ただし、すべての条件を満たす会社というのはなかなか見つからないため、優先度をつけて妥協することも必要です。
ワークライフバランスの取れる企業の探し方
職種や業界によって全体の傾向は分かりますが、企業ごとに労働環境は大きく異なるため、目指すべき方向性を決めた後は企業選びが最重要です。
企業の残業時間・離職率を見る
特に上場企業は、公開されている情報が豊富で残業時間の実態を把握しやすい
どれだけ制度があったとしても、実際のデータにかなう安心感はありません。
求人サイトの企業概要にデータが公表されていることが多いです。
また、上場企業であれば四季報で公表されていることもあります。
個別に調べるのが難しく感じる場合は、就活生向けの就職四季報が読みやすくおすすめです。
ただし上場企業であっても非公表としている企業があるため、この後ご紹介する口コミサイトなどでも確認してください。
認定企業を探す
政府や関連団体から労働環境に関する認定を受けている企業は、ワークライフバランスを尊重
これらの企業は、従業員の働きやすさを重視しています。
企業情報の概要紹介ページでアピールされていることが多いです。
認定団体 | 認定名称 |
---|---|
厚生労働省 | くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマーク |
厚生労働省 | えるぼし認定・プラチナえるぼし認定 |
厚生労働省 | 安全衛生優良企業認定(ホワイトマーク) |
経済産業省 | 健康経営優良法人(ホワイト500/ブライト500) |
特にくるみんマークは歴史があり、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。
子育てサポートに力を入れる企業は、福利厚生や労働環境全般を整える傾向にあるためおすすめです。
ただし、認定を得ていたとしても、申請と異なる運用を行い、認定が取り消されるような企業もあります。
認定マークを過信しすぎず、一つの目安として捉えるようにしてください。
福利厚生を確認する
充実した福利厚生を提供している企業は、従業員の働きやすさ大切にしています。
健康支援プログラムや育児支援など、自分が利用したい福利厚生が整っているかをチェックしましょう。
ただし、福利厚生は近年どの企業でも削減傾向にあります。
少し年収が高いだけで、福利厚生の不足を補うことは可能です。
福利厚生も働きやすさの整備の目安の一つと捉え、有給取得率や年収といったデータの方を重視してください。
社員口コミサイトを確認する
実際に働いている人々の声を聞くことは非常に重要
社員口コミサイトを利用して、企業の内部状況や社風を理解し、自分に合った企業文化かどうかを見極めましょう。
これらのポイントを参考にして、あなたにとって理想的な職場を見つけることができます。
私も登録していますが、本当に内部の人しか知り得ない情報が多く、信頼性の高さを感じます。
全体傾向については口コミの平均値を見て把握できます。
ただし、様々な雇用形態の方が投稿しているため、自分が目指す仕事の状況は口コミ詳細を確認してください。
年収・社員クチコミサイトのOpenWorkは口コミ数も多く、様々な企業の内情を知ることができるためおすすめです。
まとめ
- 事務職は残業が少ないが年収は上げづらい
- ITや金融の企画・技術職は満足度が高く、残業時間と年収のバランスがいい
- 職種・業界で目指す方向性を決めたら、結局は会社探しが最も重要になる
- 省庁の認定制度や口コミサイトで客観的に会社を評価する
ワークライフバランスは、単なる労働時間の問題ではありません。
仕事と私生活の間の満足度と幸福感のバランスをどう取るかについての考え方です。
この記事で紹介した様々な職種や業界の情報を参考にして、自身にとって最適な選択を行ってください。
おすすめな仕事として紹介したIT・金融関係の仕事は、リモートワークの実施率の高さが満足度の高さにつながっていることがアンケートから明らかになりました。
私もフルリモートワーク(在宅勤務)のIT企画職として、満足度は非常に高く働けています
リモートワーク(在宅勤務)については、以下に詳しくまとめています。
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